涙のスイッチ
さほど待たずに鳴った玄関のチャイムに仕方なくベッドを出た。


「旭くん…」


「みーわちゃん♪おじゃましまーす」


上がってもらい、ママがいないから自分でいれたコーヒーを持ってあたしの部屋に入り、テーブルの上にマグカップを置くと。


旭くんは。


あたしを抱き締めた───


「泣かせたの、アイツだろ?」


「え…?」


「目、腫れてるし、喫茶店にも来ない。何かあったのモロわかりだよ」


「…何でも…ないの」


「オレなら泣かせたりしない。な、オレんトコ、来いよ」
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