涙のスイッチ
迪也くん…。


同じ中3のわりにはたくましく育った肩に、くっきりとした顔立ちで、ゴツイ手。


野球とかバスケとか、何かやってるのかな…。


川辺からあたしをおぶって…重かっただろうな…。


東京に帰るのは、いつになるだろう。


それまで何度会えるだろう。


さっき会ったばかりなのに、なんだかまたあの大きな手で頭をポン、て、してほしい…なんて。


あたし熱のせいかな…変だよ。


「美和ちゃん、そろそろ家に入ったら?」


玄関から顔を出すママに返事して、ジョンの頭をさすって家に入った。


生きよう。


そう強く心に誓った。
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