本当の理由



あっ…やだっ…

木村君に抱きしめられている事に気づき、私は必死に抵抗した。

「っ…木村く…やっ…やだぁっ…!離し…てっ…」

もう力が全く入らなくて、泣く事しかでない…。


涙が邪魔して上手く喋れない…

「やだ…っ…」

だけど木村君は私を抱きしめる力を更に強くした。

「っ…!」


何で…意味わからない…
今まで散々、私をいじめてきたくせに…っ

「…っ…言った…くせに…っ…」

「え…」


「っ…死ね…って…早く死ねって…言った…くせ、に…っ…」


私の心に染み付いた言葉…『死ね』の言葉…。
きっと一生消えない…。


「おねがぃっ…離してよぉっ…」


「…有紀っ…ごめんっ…本当にごめん…っ」


もう…意識がもうろうとしていた…。


「…ゆう…く…」


私の意識はそこで途絶えた…。




だけど今思うと…私は木村君の事が憎めなかった…。
あんな事をされたのに…。



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