恋する事件簿【完】
第2部 ⑧〜祝福〜



水音に、目が覚めた。

前に一度、見た事のある天井。

今日は…誰も居なかった。

起き上がり、繋がれた点滴の針を抜き、窓の所へと行く。

…晴れてた筈なのに、どうして。



「…芽依実」



呼ばれて振り返ると、那維斗が立っていた。

私が点滴を抜いた事に気付くと、ティッシュ箱を持って、目の前に来た。

流れた血を拭うと、抱き寄せられる。



「由良さんは…?」


「助かった。大丈夫やで」



ポロシャツをギュッと掴み、涙が流れないよう、目頭を那維斗の肩に押し付けた。

頭を撫でられ、じわじわと涙が溢れてしまう。
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