恋する事件簿【完】
第3部 ⑩〜鬼嫁〜
― 半年後 ―



「誰やろな。死ぬ気が満々やったヤツは」



「もう、それは忘れたら?
いつまでもネチネチと、この馬鹿旦那!!」



「鈍感な奥様に、言われたくねぇな!!」



「「煩い――ッ!!」」



朝から喧嘩をする私たちに、父親と叔父さんの、雷が落ちた。

母親は「カルシウム不足なのよ。ごめんね」と、私の頭を掴み、那維斗に頭を下げさせた。

…何で私?

だいたい、母親は間違ってる事が一つある。



「妊婦が不足するのはカルシウムじゃなく、鉄分だから!」



「あれ。そうだった?」



私はノンカフェインのお茶を飲み、煙草も止めて寂しいお口に、棒付きの小さなキャンディーを含んだ。
< 329 / 336 >

この作品をシェア

pagetop