恋する事件簿【完】
「行かないから来なくて良い」



母親は難波を連れて、入って行った。

私は建物から出て来る人たちを見た。

…私は警察官。

助けなきゃ。

助けないと――…。

建物の中に入り、母親と難波の姿を捜す。

前に家族で来た事がある。

前にもここで、異臭騒動が起こり、母親と父親が来たって。

非番の日は、科学館や博物館を巡って、下見をするって。

“念には念を”って。



「大丈夫ですかー!?」



消防士の人たちが、逃げ遅れた人を捜してる。

私はある事を思い出した。

“つまらない”、“歩くの嫌”と泣いた私を、母親がキッズルームに預けたんだ。
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