何度も…何度でも君に恋をする

「…あの…さ………奏くん…おるやん?……好きやって気づいたの最近やねんけど…、奏くんには好きな人………おるねん…」

「…それって……本人に聞いたん?」

「うん…本人…。………しかも……私の友達……さっき会った子やねん」

「…………」

「中学の時に付き合ってたみたいで……、奏くん…忘れられへんって…」

「そうなんやー……」

「絶対美桜も好きやねん…。………2人の態度見てればわかる…」




切ない瞳で見つめる奏くんも。

その視線に気づいてるくせに意地を張りつづける美桜も。


付き合うきっかけを伺ってるようにしか見えない。

もういっその事、早くくっつけばいい……って、何度思った事か。




「何だかなー…。自分を見てるみたいやね……」


呆れたようにため息をついて、そっ…と私の手を握った。

その手は……とても温かかった。





泣けちゃう位温かくて…、琴美さんの優しさが染み込んでくるみたい。



「…ウッ……ヒック……」

「あたしもな、慶一郎さんの中に棲む……華凛ちゃん達のお母さんに何度嫉妬した事かわからへんわ……彼の心にはいつも想う人がいて。…絶対に敵わへん相手やねん…」

「……ンッ…ヒック……」

「でも……、華凛ちゃんは違うやん?…まだ奏くんに対して頑張れるやん…?」


琴美さんが何を言いたいかわかった。

この恋を……













諦めるな…って事だよね?

まだ頑張れる……。

まだ始まったばかり……。



そう言う事でしょ…?





< 144 / 154 >

この作品をシェア

pagetop