喫茶冬景色
7章血のつながらない子

出生

――明弘君はさ。
 
私の前の職業を知っているかい?
 
    いいえ?
 
    だろう?
 
   実はね、バーテンをね。
 
そこで、修業をしていたわけだけどね。
 
・・・。
 
  その前は、公務員をしていたのさ。――
 
 
当時の私は20。彼女は26だった。
 
高校を卒業してすぐに働き出したものだからねこの年になる頃にはもう立派な社会人だったんだよ。
 
職場の人の勧めもあったし貯金もあったからねそろそろ一緒になりたくてね、彼女に結婚を申し込んだんだ。
 
新婚旅行に無事にやって来た私は、初めての海外にずいぶん感動していた。
 
その夜。事件が起こったんだ。
 
私たちはね。
 
最後の恋人気分を楽しもうと、食事の待ち合わせ場所を決めた後ばらばらにホテルを出発したんだ。
 
会う時まで、お互いがどうコーディネートしたか楽しみにしておきたいだろ?
 
でも、彼女は来なかったんだ。
 
最初はね、まだ化粧してるのかなんて思っていたけど。
 
1時間経ってもね。
 
私は探しに出たんだよ。
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