うしろ姿
「いいよ。別に、華耶は俺のモノじゃないし…。」
そう、俺のモノじゃないし。
華耶は世界中の誰のモノでもない。
「じゃあさ、何でそんな顔してんだよ。」
そんな顔……?
俺、今どんな顔してるんだ?
“泣 き そ う な 顔。”
あいつは意地悪っぽく言った。
「保健室、戻れば?先輩。」
「……。」
「なんだかんだ言って両想いなんじゃん?」
授業中で誰もいない廊下を走った。
今考えると。
この時、戻らなければ良かったんだ。
~side 航・END~