赤い狼 参





「………ん?」




取り敢えず、聞こえなかったフリをする。



これをするという時点で、私がこの質問に答えたくないと思っているのを察知して欲しいけど…。




「「だから、どっちが稚春にとっては好みなの?」」




やっぱり、察知してくれないのがこの二人。



塚、わざとなのか、それとも本気で分かってないのか…難しい処だ。




「えっと…」




言葉につまる私に、二人は早く答えろ。と距離を縮めてくる。




あー…もう、面倒臭い。




はぁ。とため息をついて二人を見る。



こうなったら、やけだ。




「知らない。」



「は?」



「ん~?」




私の言葉に、二人が同時に反応する。




「だから、知らない。」




もう一度、ハッキリとした口調で伝えると実が


嘘でしょ?


と言いたげな目でこっちを見つめてきた。




「嘘じゃないよ?本当に、知らない。」




三回も言わせるな。


そう思いながらも実に言うと、実は


マジで!?


と大きな声で叫んだ。



…鼓膜、破けるから。





< 332 / 410 >

この作品をシェア

pagetop