赤い狼 参





「そんな睨むなよ。」




気まずくなったから取り敢えず隼人から顔を逸らす。



「睨んでねぇ。」



「はいはい。」




睨んでねぇんだったら何でそんなに眉間に皺が寄りまくってんだよ。




そんなに好きなら早く稚春に言えばぃぃだろ。



"お前が好きだ"って。



でも、隼人が言おうとしねぇのは隼人のプライドが邪魔しているからだと思う。



…いや、"言おうとしねぇ"じゃなくて"言えねぇ"んだな。




…まだ、邪魔しているのか…。



あの女が。




ギュッと目を強く瞑る。




ぃぃ加減、解放してやってくれ。



もう充分、隼人を苦しめただろ…



勘弁してやってくれ。



お願いだ…









妃菜(ひな)。













ソウッと目を開ける。




すると、隼人と稚春がプチ喧嘩をしているのが目に入った。




その光景を見て、口元が少し綻んだ。




大丈夫だ。きっと…。





「お前等、毎回毎回同じ事言わせるな。大人になれ。」



「そうだそうだ!もう。行こ、棗!」



「わわっ!ちょっ…!」



「稚春ぅ゙!!」



「キャー!隼人、怖いー♪」



「てめぇ!楽しんでやがんな!」



「へへへー♪」





そう心の中で言い聞かせながら俺は部屋の中いっぱいに響く、皆の笑い声を目を閉じて聴いていた。






棗side~end~




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