天使のキス。
それは、あたしの幻覚なのか、健ちゃんの魂がそう見せるのか。


「…ったく、しょうがないな。
愛里。
待っててやるから。
行ってこい」


健ちゃんはそう言って、いつも通り華やかに、そして優しく笑う。


「やだよ。
あたし、このまま健ちゃんのそばにいるよ!!
あたり前じゃん。
何言ってるの!?
…っ。
健ちゃんっ!
聞いてる!?
ち…ち…
ちょっと!
やだ――っ!!」


泣き叫ぶあたしの肩をつかんで回り右をさせ、健ちゃんはあたしの耳元で、こう告げた。


「愛里の幸せ。
願っているから…」

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