天使のキス。
あたしは、悠のパパを孤独の淵から救ってあげたくて。


悠のパパは、大事なものを見失ってるって、気付いてほしくて。


マスクの男に体当たりして、銃を奪った。


縛られたのは後ろだったから、めちゃくちゃ難しかったけど。


それでも、不自由ながらも銃を掴み、悠に背中を見せる格好で、銃を悠の頭に押し当てた。


「提携を…
提携を今すぐやめなさい!」


あたしは、本気だった。


本気で――…


悠のパパが止めてくれるのを願い。


本気で――…


銃のヒキガネに指をかけた。
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