天使のキス。
「…はぁぁぁぁ!?」


素っ頓狂な声を出して、驚きを露にしたあたしに、


「ほら、また。
この単純さがたまらない」


そう言って、悠はあたしの頬を引き寄せた。


「心が素通し。
どうしたら、こんなに単純ちゃんに育つんでちゅかね?」


後半は完全にあたしをバカにして、


「愛里さ。
彼氏の印。
挨拶以上のキスしていい?」


悠はスッと顔を伏せ、あたしの後頭部をガッチリ押さえつけたと思ったら――…


「手加減できそうにねぇけどな?」


斜めに顔を近づけた。

< 88 / 921 >

この作品をシェア

pagetop