モデル同士の恋
…思えば俺の人生は
結衣がいつも中心だった気がする。


誰かがそうさせてたわけではなく、
俺が自分でそうしてた。


結衣の我が儘を全部聞いてたとか
そういう意味の中心、ではなかったけど。


もちろん、そんな自分に嫌気がさして、

何度か結衣から離れようとしたことはある。



でも、どんなときでも結衣と他の人を比べて、
全然上手くいかなかった。



だけど。


結衣は俺のそんな心を知るはずもなかった。



今まで、『幼なじみ』という微妙な関係から
一歩踏み出せる機会なんてたくさんあった。


しようと思えば、いつだってできたはずだ。



でもそんな勇気はなかったし、

結衣が俺を恋愛の対象としてみたことが
ないことくらいわかってた。



だからと言って、
結衣が他のやつを本気で
好きになることもなかったようだった。


だから、俺は結衣にとって
一番近い存在でいれた。


いつも楽しくやっていた。

俺はそれだけで十分満足してた。



でも、あいつが結衣の恋人になるかもしれない。



そう考えると
ドラマの撮影のとき、その帰り、放課後、休日。


全部、俺との時間があいつとの時間に変わる。


今まで見てきた限り、現在結衣があいつを好きな可能性はかなり低い。


でもこれからすきになる可能性は、多分高い。


自分の感
情をストレートに表現できるあいつが羨ましかった。


それと同時に
何も出来ない自分に腹がたつ。


最悪だ…
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