本当の仲間
──沖矢 総司side

今日は天気もいいし、東さんが夜桜でも見に行こうと言ったので仲の良い龍君と朔斗と僕の学校、薄桜高校の担任でもある辻井先生、そして同じく1-C担任の原田先生で夜桜を見に来た。
僕たちは何気に仲が良かった。

みんなでジュースやら酒やら飲んでて盛り上がってて良い感じになっていた。
僕は耳が良いのか、それとも地獄耳なのか…どこか遠くでうめき声が聞こえた。
「僕、少し歩いて来ますね」
「総司、あんま遠くに行くんじゃねぇぞ」
「分かってますよ、辻井先生」
お節介な辻井先生に一声かけられ、僕は声のした方へと行く。

5分ほど歩いた。
みんなといた処からかなり離れてきた。
その代わりに、凄い血の匂いがする。
(もしかして喧嘩なのかな…)
ならば今すぐにみんなの処へ帰ってここから離れなければならない。
東さんに怪我なんかさせたくない。
東さんは一人の僕に手を差し伸べてくれた、命の恩人だ。

だけど僕が逃げなかったのは、争う声が聞こえないからだ。

そして僕は見た。

ゴー…っと強い風が吹き、紅色の髪が揺れその周りに無数の人が倒れてるのを。

(まさか…1人でこの人数を…?)

視線に気がついたのか、紅髪がこちらへと振り向く。
綺麗な紅眼だ。吸い込まれそうな…。
「誰」
消えそうな声で問われた。女の声だ。
「…」
僕は何も言えなかった。なんでこんなに酷い状況でこの女の子は平然として立っていられるのか。
女の子なら怖がるとかしないのだろうか。
「答える気…無い、か。」
女の子はそれだけを言うと僕に背を向け行ってしまった。


これが君と僕の…出会い

「ちょ、ちょっと待ちなよ!」
僕は我に返り女の子を追いかける。
「総司~!どこ行ったんだ~?」
これは東さんの声だ。東さんの声を無視出来ない。
僕は彼女を事は、また会えるだろうと思い東さんの方へと行った。
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