時空を越えて…


『ハァ…ハァ…』


大分走った私は建物の陰に隠れた


『やっぱり戻ろうかな…』


そんなことを考えていると…


「ふざけるな!!!」

『なっ…なに!?』

怒鳴り声のする方を見るとそこには4、5人の男の人に囲まれた男の子の姿があった


「俺の身体を濡らしといて逃げる気か!?」

「ごめんなさい…」

「謝れば済む話じゃないんだぜ?」

「でも…」

「その金よこしゃぁ目ぇ瞑ってやらぁ」

「これは…おっかさんの薬代で…」

『うわぁ…この時代にもかつあげがいるんだ』

「このガキ容赦しねぇ!!!覚悟しやがれ」


そう言って一人の男が刀を抜き振り上げた


『危ない!!!』

とっさに飛び出した私は勢いよく男の子を抱き抱え転がった

ザクッ…

『…っ』

微かに刀が腕をかすり切れた

「おい何だお前?」

「お姉ちゃん…」

腕の中にいる男の子は私の腕を見て泣きそうになっていた

『大丈夫!男の子なんだから泣いたら駄目だよ』

よしよしと頭を撫で立ち上がり男の人を睨み付けた

「威勢のいいねぇちゃんだぜ」

にやにや笑う男の人に向かって叫んだ

『男の癖に懐が小さいですね』

「何だと」

『小さい子供を大人数でいじめるなんて…小さい小さい』


「馬鹿にしやがって…」

「女だからって容赦しねぇ!!!やっちまえ」

男の人達は一斉に刀を抜いた

「まぁまぁ!!!」

突然後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた

『あ…さっきの』

「やぁ!」

ついさっきまで話していた爽やかな男の人だった



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