嘘婚―ウソコン―
陽平のだ。

引きずっていた時に落としたのだろう。

千広は携帯電話を拾いあげた。

「――んっ?」

画面に映った画像に、千広は首を傾げた。

画像は、1人の見知らぬ女性だった。

腰まである長い黒髪。

真珠のように白い肌。

目鼻立ちがはっきりとしている整った顔立ち。

優しく微笑むその顔は、彼女の優しい性格を感じさせた。

千広はその画像を見つめて、
「――誰なんだろう…?」
と、一言だけ呟いた。

自分よりも年上に見えるその人は、陽平とどんな関係があるのだろう。

千広は眠っている陽平の横に携帯電話を置いた。
< 136 / 333 >

この作品をシェア

pagetop