嘘婚―ウソコン―
そんな顔をしている彼女に、陽平は言ってやりたくなった。

信じられないのは、自分もそうだった。

相手がいたと言う事実が信じられないのは、他でもない。

「どう?

それでも俺と結婚したいんだったら、愛人としてそばに置いてあげるよ?

三橋のお嬢さんがそれでいいって言うなら…」

パンッ!

乾いた音に、千広は思わず表に飛び出していた。

陽平はたたかれた頬をどうしようともしない。

麻里子は荒い呼吸をしながら陽平を見つめている。

一触即発――今の状況を表すならば、これだ。

千広は飛び出してしまったことを後悔していた。
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