嘘婚―ウソコン―
彫りの深い顔立ちに、一瞬だけ男かと思ってしまった。

「女の子が何の用かしら?」

ソプラノのその声は女だ。

その人が首を傾げて見下ろしているので、見下ろされた千広はタジタジだ。

小柄な自分が見下ろされるのはなれていないと言う訳ではないが、でもこうして物珍しそうに見下ろされることにはなれていない。

「あの…」

千広は声をかけた。

「ハートさん、今日はきてますか?」

「ハート?」

その人は考えて、
「あなた、周陽平様の関係者かしら?」
と、聞いた。

「は、はい」

千広は首を縦に振ってうなずいた。

ハートを訪ねにきただけなのに、何でこんな目にあわなきゃいけないのだろうか?
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