嘘婚―ウソコン―
千広の頭の中を読んだと言うように、
「実はさ、三橋のお嬢様家族が抱える大きな秘密に気づいたんだ」

陽平は言った。

「…はい?」

それは、どう言うことなのだろうか?

ますます意味がわからない。

「来週の水曜日、店にシフト入ってる?」

「…ええ、入っています」

自分がその日にシフトが入っていることと、それが一体何の関係があると言うのだろうか?

「その日、親父と一緒に三橋の父娘と会う約束をしてる。

その時に教えてやる。

全てのエピローグに向けて、な」

パチリとウインクをする陽平は、顔立ちが端正な分よく似合っている。

その時に教える。

陽平は、見合い相手である彼女の何に気づいたのだろうか?

全てが見えている陽平とは反対に、千広は話の終わりが見えなかった。
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