嘘婚―ウソコン―
その問いに今度は陽平は手を伸ばし、千広の頭をなでた。

「また会えたら、な?

いつになるかはわからないけど、少なくとも早く会いに行く。

早くヒロを――千広を迎えに行く」

「周さん…」

満月が、自分たちを照らしている。

「きっと、会えるから。

会って見せるから」

陽平が、優しく微笑む。

千広は、自分たちを照らしている満月に願った。

最愛の彼――陽平と、再会できますように。

陽平の微笑みを記憶に焼きつけるのと同時に、満月に願った。
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