嘘婚―ウソコン―
空を見あげると、月が出ていた。

今日の月は、
「満月か…」

満月だった。

陽平も、満月を見ているだろうか?

「でも…時差があるよね」

日本は今は夜だが、ヨーロッパ地方ではこの時間は確か昼だったような…?

千広はカバンから携帯電話を出した。

陽平にメールを送ろうと思ったからだ。

だけど、
「やめておこう。

時差の関係もあるし」

そう言い聞かせると、千広は携帯電話をカバンの中に戻した。

代わりに、満月を見つめることにした。

陽平に離婚届を突きつけて、離婚を要求したこと。

彼からサインつきの離婚届が返された時、初めて自分の気持ちに気づいたこと。

陽平に告白して、結ばれたこと。

千広は、満月を見つめながら陽平と過ごした今までの思い出を振り返っていた。
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