嘘婚―ウソコン―
そのチャイムの音に、千広は首を傾げた。

今日は、誰かが事務所に訪問してくる予定はない。

光熱費とかの生活費は、陽平曰く、
「小田切さんの事務所に全部渡るから、ヒロは心配しなくてもいい」
と、旅立つ前日に言っていた。

ピンポーン

もう1度チャイムが鳴った。

千広は息を吐くと、
「最近の訪問販売も結構質が悪いなあ」

玄関に向かった。

ノルマがあるんだか何だか知らないけど、しつこいものだ。

「まあ、追い払うことくらい得意ですし」

1人暮らしが長いせいか、家事だけじゃなく、しつこい訪問販売を追い払う技術もすっかり身についてしまった。

ピンポーン

玄関についたとたん、チャイムが鳴る。

「はーい」

千広はドアを開けた。
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