嘘婚―ウソコン―
「ああ、あれか…」

千広はポリッと指先で頬をかいた。

「店長さんに見つかっちゃったの、お店の電話を使ってかけてたから」

ピタリと、園子が回るのをやめた。

「お店の電話だったの、あれ」

驚いたように言う園子に、
「だってケータイ、更衣室の中だもん。

業務中はケータイいじるの禁止だし」

千広は返事をした。

「アハハ、そうだよね。

あ、そうそう」

園子は思い出したように返事をすると、カバンから何かを取り出した。

それを広げると、テーブルのうえに置いた。

「約束の物」

テーブルに頬杖をすると、園子はニヤリと口角をあげた。
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