嘘婚―ウソコン―
「市役所…ふーん、ずいぶんと偉いんだな。

公務員ってヤツ?

あの子って頭がいいんだな」

「そうですね」

千広はふうっと、息を吐いた。

偉いのは自分だって一緒じゃないかと、もう1度心の中で毒づいた。

日本経済を代表する財閥の御曹司で、デザイナー――と、まさにいいご身分である。

「周さんのところも偉いじゃないですか。

財閥の御曹司で、そのうえデザイナーで」

皮肉混じりに、嫌味っぽく言ってみた。

「偉い?」

陽平の片眉がピクリと動いた。
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