zinma Ⅱ

血にお別れ




目を開けると、そこは薄暗い部屋だった。

一瞬そこがどこかわからない。

あまりにも夢の内容が濃くて、現実に戻るのに時間がかかる。



そこがいつも自分がいる祠の中だと気がついて、身体を起こす。


身体がひどくだるい。



すると、

「目が覚めましたか?」

と、声がかかる。



声の方を見ると、部屋の隅、暗くなったところから、青年が現れる。


暗いはずなのに、そこだけ輝いているように見えるほどの美しさ。



その青年を見て、さっきまでの夢が現実であるとわかる。

一気に、思い出す。



それにシギは言う。

「……いくつか聞きたいことがある。」



すると青年はシギのいる台座の前に座りながら、答える。

「なんでしょう?」



それにシギは聞く。


「いま私は夢を見た。」

「なるほど。」

「私の両親の夢だ。」

「ええ。」

「これは夢ではないのか?」

「微妙なところです。」

「じゃあ……あなたが見せたもの?」

「そうです。」




そこでシギは一度言葉を切る。

心を静める。

聞きたいことは山ほどあるのだ。

もしかしたら、この青年を許せなくなりそうな疑問が。



「……あなたは私の両親に、このことを頼まれた?」

「はい。」

「直接?」

「はい。」

「では、あなたがレイ?」

「そうです。レイシア・リールといいます。」

「あなたは『選ばれしヒト』なんですか?」



それにレイシアと名乗った青年が、言葉につまる。

表情はまったく変わらないが、底の読めない顔に変わるのがわかる。


「……そうです。」

「私の両親から力を授けられたわけですね?」

「はい。」

「ふたりはもう少しで役目を果たすところだと言っていました。」

「………。」

「私にも、私の中に受け継がれた『呪い』の力を彼に返してほしいと。」

「……はい。」

「ふたりはもう、あなたに『呪い』を返したんですか?」

「……………………はい。」



そこで、シギは自分の声が奮えそうになるのがわかる。








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