もうひとつの卒業
「あなたは特別なのかもしれない」


早苗は拓馬のあごのラインを見ながら言った。


「特別?僕が?」


「ええ。きっとそれは、才能よ」


「意味がわからないな」


「良いの。わからなくても」


早苗は拓馬の首に手を回した。

拓馬は前かがみになり、早苗は真上を向いた。


身長の差が、不自然な、でも芸術的な形を作り出していた。

唇が触れ合っただけで、二人は繋がりあった気持ちになった。


そして、それから本当に繋がるまで、あまり時間はかからなかった。
< 102 / 235 >

この作品をシェア

pagetop