親友と傘
私が話し終わる頃には日は隠れ、月が光っているときだった。
玄関のほうからガチャと音がした。
「あ、帰ってきたね。」
と沙恵が言うとリビングに背の高く長い茶髪を1つに結んでいる30代半ばあたりの人が入ってきた。
「おかえり、お母さん。」
「ただいま、あっ、お友達?」
「うん。」
「いらっしゃい。お名前は?」
「羽生一華です。」
何気なく交わされた会話の中の「友達」という言葉が異常にうれしかった。
「一華ちゃんね。ご飯は食べた?」
「いいえ、まだです。」
「じゃあ今から作るから食べていって。」
「お母さん。今日、一華を泊めてもいい?ちょっといろいろあってさ。」
「もちろん!そのいろいろが終わるまでうちに泊まってもいいからね。」
と優しく笑って言ってくれた。
あまりにも優しすぎてうれしすぎることで涙がとまらなくなった。
「ありがとうございます。」
涙まじりに嗚咽をこらえながら言った。
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