月夜の太陽
ここに来てからいろんな表情のシエル様を見てきたが、今が一番怖いかもしれない。


王でも男でもなく、父親としての顔。



『申し訳ありません。体に変化が起きた時点で気付くべきでした』

『いいや、何も知らなかったソルには責任はない。私の方こそすまない、家族のこととなると自分でも感情を抑えられなくなる時がある』

『お気持ちは分かります。大切な人が絡むと自分が自分でなくなるような感覚に襲われるときがありますから』

『ルナも、その中の1人か?』



俺の目を真っ直ぐ見透かしたような目で捉えたシエル様の目を、俺は逸らすことなく合わせた。



『ルナは特別です。家族や友人に対する大切さとは違います。愛していますから』

『アハハッッ、まさか面と向かってそんな事を言われるとは思っていなかった』




豪快に笑うシエル様を見て俺は何て事を言ってしまったんだど、今更ながら恥ずかしくなってしまった。


この場に誰もいなくて良かったと思った。



『私もローズもルナとの交際を反対しようなどという気はないよ』

『…ありがとうございます』



そうは言ってくれるが、内心スッキリしない思いが広がっていた。


みんなに対しての罪悪感からかもしれない。


見に覚えのない罪からの罪悪感………。






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