月夜の太陽
ジオラさんはテーブルの上の剣を掴み上げ、ソルに差し出した。



『お前が持ってるべきだ』

『……俺が持つ理由がありません』

『俺たちは今はこの城に仕える身だからよ、こんなもん持ってっと罰を受ける羽目になる。それに、この剣は必要になる』

『どういう意味ですか』

『お前はまだ術を完璧にコントロールできねぇし、短期間で使いこなせるようになるとは思えねぇ。それなら剣の方が確実に相手を殺せるし、この剣の方が普通の剣より楽に殺せる』



ジオラさんが言っている意味が分からなかった。


私だけじゃない。


みんな理解できていないようだ。


だけど、お父様たちはしっかりと意味が分かっているようで、お母様はとても辛そうな顔をしていた。



『お前は何のために今力を身につけようとしてんだ』

『自分自身と大切な者を守るためです』

『何から守る?何と戦う?』

『…………』

『レイドを殺し組織を潰さなけりゃ戦いは終わらねぇ。レイドを殺すっつうことがどういうことか分かるな?』



もう、ジオラさんが何を言いたいのか分かっていた。


だけど誰も口にしないし、そうはしたくなかった。









『レイドを殺せばビリー様も死ぬ』





< 324 / 471 >

この作品をシェア

pagetop