月夜の太陽
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壁によっかかる様に立っている剣。


部屋の隅にあるはずなのに、部屋にあるあらゆる家具や絵画よりも存在感を放っている。


父親の形見。


父親だとは思いたくはないが、紛れもない事実だ。


ドアがノックされたが返事をする気にならず、1人ベッドに寝転がった。


天井にも見事な絵が描かれている。


俺にはこの絵の価値なんて分からないが、想像も出来ない程価値のある絵だろうと思う。



『返事がなくても気配でいるかどうか分かるんだよ』

『あぁ』

『今いいかな?』



問いかけているはずなのに、何と答えようと話すつもりなのか、リオはすました顔をして部屋の中に入ってきた。



『返事を聞かずに入ってくるなら一々聞くな』

『ソルは素直じゃないから、話したくても自分からは言えないんじゃないかと思ってね』

『……お前の言うとおりだよ』



リオは俺がこんな事を言っても、意外そうな顔をすることなくソファーへ腰掛けた。


俺もベッドから起き上がり、そのままベッドに腰掛けリオに目を向けた。






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