青春の蒼いカケラ
狂想文学編
 朝目が覚めると、携帯の着信ランプが点滅していた。ハルオちゃんからのメールだ。

――長野の現場まで一緒に行かないか?――

 僕は慌てて電話を掛けた。
「もしもし、ハルオちゃん?」
「なおちゃん?」
「長野の仕事って?」
「うん。気晴らしにどうか、って思ってね」
「僕はどうすればいい?」
「今から迎えに行くよ」
 ハルオちゃんはすぐに迎えにきた。僕としても確かに気晴らしにはなりそうだ。
 そろそろ秋の気配が空気を凛とさせている。僕は防寒対策用に上着を一枚、多めに持ってアパートを出た。ハルオちゃんの車は結構乗り心地がいい。
 助手席でシートベルトを直している僕に、ハルオちゃんが話し掛けてきた。
「なおちゃん。ノリちゃんとは連絡取り合ってる?」
「いや、最近全然。連絡先も知らないよ」
「実は彼女、会社に訪ねてきてさ。ちょっと前の話だけど」
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