青春の蒼いカケラ
脅威、同棲編
 僕は競馬で稼いだ二千六百万をキャッシュで支払い、調布に中古のマンションを購入した。
 ここならば車椅子の彼女もエレベータで簡単に出入り出来る。この分だと競馬だけでも生きて行かれそうだ。僕はカッちゃんの会社に電話を掛けて、その日付で退社する事にした。『いつでも戻ってきていいんだぞ』と言ってくれる辺り、親友とはありがたいものだ。
 僕は福祉事務所に出向き、ノリちゃんを正式に引き取る旨を伝えた。これで彼女との生活も始められる。
 病院に行って退院手続きを取り、僕は翌日、彼女を部屋に迎えた。僕の横にはノリちゃんがいる。
 僕は彼女の顔を正面から見詰め、思い切って思いの丈を告げた。
「ノリちゃん。僕と結婚してくれ!」
「いいわよ」
 彼女は思っていたよりあっさりとOKしてくれた。もしかしたら僕のこの一言を、ずっと待っていたのかも知れない。
「改めてよろしく」
「こちらこそ」
 彼女との付き合いは、途中、連絡の取れなかった時期も含め、十年以上になる。だがこうして二人、同じ屋根の下で暮らすともなると、やはりどこか、まだ照れがある。
 僕は部屋の配置について、彼女に説明して回った。彼女も頑張ってリハビリを続けた結果、十メートル程度なら杖を突いて歩く事が出来る。メインのベッドは彼女と僕のツイン。クローゼットには彼女が座ったままでも作業が出来るように、低い位置にバーが備え付けてある。キッチンのテーブルも車椅子でも足がすっぽり入るよう、少しだけ背が高い。彼女が足を伸ばして寛げるよう、ソファーも買った。パソコン用の部屋もある。そこには僕が仮眠を取れるよう、もうひとつ、シングルベッドも用意されている。
 『買い物でもいこうよ』と言って、僕は彼女を連れ出し、スーパーに
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