シンデレラになりたくて~エリート専務と秘密の恋~
田村さんは驚いた顔で私を見ていたが、やがてふっと表情を緩めた。

「ごめん、俺。彼ほどの人だと太刀打ちできないから、つい悔しくてさ。

圭吾…ね。よく分かったよ、君の心の中にいた人が。

色々な事があると思うけど、頑張って」

田村さんは私の肩をポンポン叩いてからスッと立ち上がった。

「あ、あの…たむ…」

呼び止めようとした私をクルリと振り返ると彼は、
「もう、いいだろ。
取り乱してるところ、みられたく、ないんだ…」
と静かに言った…。

ズキッ――。

私の胸の奥が何かに潰されたように鈍く痛む。

…傷付けた…。

優しかった、笑顔の素敵な、田村さんを。

私から少しずつ離れていく彼の後ろ姿が涙でぼやけた…。


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