もう一人の花嫁……
『史郎さん、大丈夫?』
声の主は、俺の前にしゃがみ込むと天使のように優しい微笑みを浮かべた。
『しろ…う……』
腕の中の愛美が何か言いたげに、俺の頬へ手を伸ばしてきた。
『愛美!愛美?もう喋るな!』
俺は泣きながら痛いくらい愛美を抱きしめた。
それを見ていた目の前の女はチッと舌打ちし、さっきまでの微笑みをサッと消し
『最後まで邪魔な女……』
そう呟く。
『アンタ……誰?』
見た事もない女だった。