若恋【完】


突然の展開についていけなくて、榊さんの横顔を見ると、
榊さんも戸惑いの表情をしてた。

「三年前…」

小さく呟く口元が、ああって思い出してたみたい。



「りおさん、彼はわたしたちの救世主かもしれません」

え?

「彼が力になってくれるのであれば若も救い出せます」


ほんとう?
未来は明るいの?
奏さんを一緒に助け出すことができる?

明るい気持ちになって榊さんを見上げる。

「今なら彼と一緒に若や妹さんを助け出せます」

「うん」

「りおさん、後ろに下がって」

言われた通りに数歩下がって成り行きを見守る。

「龍さま。この三年間、わたしがどんな気持ちでいたかわかりますか?」

「まる、い…まさか裏切る、のか?」

「……三年じっと我慢してたんですよ。悲しみや憎しみは薄れるものだと思ってました。…だけど、もう疲れました」


「…俺を、それで撃つと、…いうのか?」



< 166 / 417 >

この作品をシェア

pagetop