若恋【完】


「下着を買う他にもブラブラってショッピングしたいなーって」

奏さんがわたしをじっと見つめるのに耐える。



「―――わかった」

「うそ。ホント?ありがとう奏さん!」



新聞を横に置いて仕方ないなって感じに奏さんが渋々承知してくれた。


「すぐ帰ってこいよ」

「うん、」

「仁をつけるか?」

「えっ…」

言葉に詰まっちゃって体が硬直する。

「すぐそこだから。わたしひとりで買い物してくるから」



なんとかしてひとりで外出したい。

「わたしは大丈夫だから」

ね?


心配性の奏さんがソファーに座っている背中に回りそっと腕をまわして抱き締めた。



「今日の夕御飯は奏さんの好きなものを作るからね」

ギュッ

大好きな奏さんの好物を夕御飯にしたい。


「奏さんが仕事から戻ってくるまでにはたくさん作って待ってるからね」


「―――楽しみだな」



わたしの腕の中で奏さんが小さく笑った。



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