若恋【完】

―――許さねぇ




奏さんの一言で一蹴された。



｢危険すぎる駄目だ｣

｢でも、ふたりを｣

｢りおでなくても俺が話せばいい｣

｢奏さんは狙われてるんだよ｣

｢そんなのはわかってる。とにかくりおを出すわけにはいかねえ｣


奏さんは取り合ってくれない。



｢わたしでないとダメなの｣

｢駄目だ。おまえを危ない目にあわせたくない｣

｢お願い、奏さん｣

｢何度言っても駄目だ｣



｢彼女たちにはわたしでないとだめなの！｣

思わず叫んでしまった。

奏さんがビックリしたように目を見開きそしてゆっくり閉じた。



｢………｣



奏さんのしなやかな指がわたしの体を引き寄せたかと思ったら、力一杯抱き締められていた。



｢…奏さん？｣


息苦しいほどの抱擁に戸惑う。



｢………｣

｢…奏さん？｣

｢………｣

｢ねぇ、奏さんってば｣


奏さんの胸の中からわたしは声をあげた。





｢………おまえはいつも俺を驚かせるな｣