若恋【完】


奏さんの手は魔法をかけることができるんだよ。

奏さんの大きな手が触れてくれるとすっごい安心するの。

あんなに辛かった出産だって、奏さんの赤ちゃんを見て触れた時、奏さんに手を握られた時にすべてを忘れられた。

今だってそう。

奏さんがそばについていてくれるって知ったら、急に眠気が襲ってくる。

安心できる。

奏さんの瞳に守られて安心する。




丸1日以上、陣痛で寝られなかったんだもの。

奏さんに見守られて眠くなるのも当然かな。




「りお?」



「…うん」



「安心しとけ。ずっとそばにいてやる」



「…ん」



「無防備な寝顔は誰にも見せたりしねえから」



「………」



「だから。安心しろ」



額に奏さんがキスをしてきたような気もしたけど…


ゆりかごの唄のような眠りを誘う声にわたしは深い眠りへと落ちていった。






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