若恋【完】




ボンネットから白い煙を出して、タイヤが空回りしている車。
その中にいた男のひとが、後部座席から護られるようにして降りてきた。


「若!!どこか痛めたところはありませんか!?」

「このぐらい、平気だ」


ふっと、
降りてきた人が脇を通り過ぎる瞬間、その人と目が合った。
けれどすぐに反らされ、歩道に座ったまま見上げているわたしの脇を風のように3人過ぎて走って行った。


バルルル、ドン!


黒塗りの高級車の後を追って派手な車が数台歩道に乗り上げ、車から明らかに危ない目付きをした男たちが、刃物と鉄パイプを片手に次々と降りてきた。


「まだ遠くに行ってねえ、この辺にいるはずだ!探せ!!」





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