の行方と風の向き【短編】

そういえば今年の冬も、やはり温暖化の影響なのか、東京都下のここ八王子にも、冬の醍醐味でもあるグラウンド一面の雪景色をまだ一度も見る事ができなかった!

葉月ちゃんはハワイでは絶対に見る事のできない雪景色をもう一度、目に焼き付けておきたかった…





G:『よしっ わかった!』

葉月ちゃんは元気の予想外の解答に驚き、目を丸くした…。



G:『僕たちにまかせて!』
『先生!はづちゃんと一緒にここのカーテンを閉めて、ちょっとの間、待ってて! はづちゃんは目をつむってて! い〜い?』


H:『…うん』



元気は、みんなとコソコソと相談しながら、色とりどりの折り紙を持って、1組が元ある校舎の屋上へと昇っていった…


元気らは少し薄暗い屋上へとつながる階段を、ワイワイガヤガヤと口々にしゃべりながら上がって行き、屋上の扉を開けた瞬間…

目を疑った…



大輝が1番に屋上に飛び出し、ダンスをするようにくるくると回っていた!
元気とその他の全員は、ゆっくりと屋上に出て、その信じられない光景を目の当たりにし、口をポカンと開け、白い息をはきながらその奇跡を楽しんだ!


大人になればなる程、心が汚れるので、綺麗なものや信じられないものに出くわすと感動するものだが、心の純真な子供達は、自身の内面にけがれがない為、自分自身と同じような物を見ても、あまり感動はしないらしい!

しかし、屋上のみんなもその奇跡にドキドキしながら目を輝かせ、きっと死ぬまで忘れないであろうこの光景を目に焼き付けた!



教室では先生が折り紙が舞う時の合図を待っていたが、校舎の方の屋上がやけに騒がしいので、カーテンを開けると…そこにはグラウンド一面に真っ白な粉雪が、天から降り注いでいた…


葉月ちゃんと小林先生はその絵ハガキのような景色を見ながら神様に感謝し、ただ黙って涙を流した…



冷たい風が雲をばらばらにし、その破片が粉雪となり風に舞った…

後、数日で…





後編
…につづく
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