危ない家庭教師〜美男兄弟の誘惑〜
「俺さ、料理ってした事なくてさ、急におふくろ達が泊まりで出掛ける事になって、飯はどうすっかなあと思ったんだけど、今日はちょうど綾子が来る日じゃん。

だったら綾子に飯作ってもらおっかなと思ったんだけど、綾子も料理した事ないとは思ってなくてさあ。悪い事しちまったな?」


涼の“ヨロシク”は、エッチじゃなくて料理?

純ちゃんの、バカァー!


私は体中の力が一気に抜け、ヘナヘナ〜とフローリングの床に座り込んでしまった。


「材料は冷蔵庫のものを何でも使ってくれていいし、腹さえ膨れりゃなんでもいいから、簡単なもので……って、おい、どうした?」


「メールの“ヨロシク”って、料理のこと?」


念のため聞いてみた。


「そうだけど?」


ガクッ


「勘違いか……」


うなだれながら呟いた言葉は、涼に聞こえちゃったらしい。


「勘違い? 何とだ? どういう事だよ?」


「何でもないよ。さてと、何を作ろうかなあ。まず材料を確認しないとね……」


私はスクッと立ち上がると、努めて平静を装い、冷蔵庫の中を覗いたりした。


「綾子……」


「きゃっ」


涼に後ろから抱きしめられてしまった。


「俺のカテキョは、どんな勘違いをしてくれたのかなあ……」


「な、何の事かしら?」


「惚けるなよ。分かっちゃったんだからさ」


「あ、スパゲッティ食べる?」


「いいや。俺は綾子を食べる」


「え、ちょ、ちょっと待って? あん、だ、ダメ……」



(『後日談 意味深なメール』完)


この後の事は、ご想像にお任せします。

続いてもうひとつ後日談をお届けします。5年後のお話です。

よろしかったら、お付き合いをお願いいたします。


秋風月

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