危ない家庭教師〜美男兄弟の誘惑〜
「バーカ」


そう言ったかと思うと、涼は私の髪の毛をグシャグシャとした。


「ちょ、ちょっと、止めてよ」


思わず顔を上げたら、涼が優しい顔で私を見ていた。


「俺の事、考えてくれんのは綾子だけだよ」


「涼……?」


私を見つめる涼の顔が近付いてきて、唇が私のそれに重ねられた。


3度目のキスは、触れるだけだったけど、柔らかくて、温かくて、蕩けそうなほど甘かった。


「どうして?」


「ん?」


「涼はどうして私にキスするの?」


「したいから、じゃダメか?」


「ううん、いいけど……」


“好きだから”って、言ってくれないんだ……


止まってた涙が、またジワッと溢れてしまった。


「わりい。泣くほど嫌だったのか?」


「違うよ。涼のバカ……」


「参ったなあ」とか言いながらも、涼は優しく私の肩を抱いてくれた。


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