Glacial HEART [短編]
『ほんとに〜?あ、じゃあなんか、してほしいこととかある?』
電話越しに湊都の優しさが伝わってくる。
私はさっきまで繋いでいたはずの掌をぼんやりと見つめて
「大丈夫!もう、治ったようなものだし」
とうそぶく。
今は冷たい掌も、本当は心細くてたまらない寂しさも、熱のせいにしてすべて見ないふり。
そうしたら湊都が
『じゃあもう帰ろっかな〜』
と言った。
そして、次の瞬間にはドアがガチャリと開いて…
『「また嘘つくんだから!」』
と、愛しい人の声が二重で聞こえた。