そらぐみ

あっそ、と呟きながら、瀬野は食べ終えたコロッケパンの袋をぎゅっと結ぶ。


上野の腕にぶら下がり風になびくビニール袋にそれを入れると、小さくため息を漏らした。


「こんなんでいいのかな。」


一人言のように呟いて、真上の空を見つめる。

その瞳には、やはり空虚が映った。


「確かに…栄養バランスは悪いよな。」


コーヒーを一口喉に流し込んだ上野は、それが重大なことのように深く頷いた。

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