Addict -中毒-


相澤は私の言葉を疑った気配を見せなかった。


それどころか、


「胡散臭い外商員だな。ああゆう企業人はどうなんですかね?人に頭下げて、思っても無いお世辞を口にして。つまらない仕事…いや、人生だな。いかにも負け組みだ」


なんて小馬鹿にした言い方をして口の端を歪めている。


じゃぁ、あんたはどれだけ偉いって言うのよ。


蒼介の話だとこの大学を1浪して入学し、研究熱心で蒼介が気に入り、大学を卒業しても彼の口効きで研究所に残ったと言う。


確かに一流大学だと思うけれど、だからその先に何が待ち受けているの?


自分が勝ち組だと言いたいんでしょうけど、私にはそう思えない。


その驕り高ぶって、自分が一番偉いんだという考えこそ、どうかと思うけどね。


「上がっても宜しいですか?」と相澤はにこにこ答える。


断る口実がない。ここで変に「待ってて」なんていうと警戒してると思われる。


それは相澤を挑発するようにも思えて、私は短い間に色々考え、結局、


「ええ。用意をしている間リビングで待っててくれるかしら」


機械的にそう答えた。















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