記憶の中で… 2


退院してもしばらくは安静を言い渡された。少しずつ体を慣らして、普通の生活に戻れるのは一ヶ月後。学校が始まってもしばらくは休まなければならなかった。

早くナツキに会いたい。

あれからメールをしても、電話をしても一切繋がらなかった。

ナツキの家の電話にかけても駄目だった。

いつでもナツキのところへ行けるように、こっそり荷物をまとめて、ありったけのお金を用意した。



学校へ行ってもいいと許可が下り、久々に登校した。

学校側には、虫垂炎から腹膜炎を起こしたことにしてあった。

皆、「もう大丈夫なの?」とか「大変だったね。」とか心配してくれた。

二学期になっても私の席は相変わらずナツキの前で、ナツキが来るのを今か今かと待っていた。

でもナツキは来ない。クラスメートたちはナツキの事を口にしない。

先生が出席を取る名前の中に、ナツキの名前はなかった。

ツルちゃんというクラスの中でも仲のいい友だちに、「ナツキはどうしたのか知らない?」と聞いた。




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