ラヴァーズ
いつだって脇役のように生きてきて、恋愛にかんしては奥手で、恋愛に対して我が儘なんて言ったことなんてない。

だから、許してほしいと願うのだ。

友達はいつもきらきらしていて、私はそれにいつだって憧れていた。

でも、彼女たちはいつだって真っ直ぐじゃない。好きだと公言しない。それがとてももどかしい。

好きなら好きだと言えばいいのに。照れてばかりで、どうして伝えようとしないの。大切な気持ちほど、思い日とには伝えなければならないのに。

君たちはそれが許されているのに。







「爽夏」

私は呼び掛けられて振り返る。

「どうかしたの?」

ぼーっとしてる、と言われて、私ははじめて声を発した。

「ちょっと、今後の色々について考えてた…」

そう、と奏が返す。

綺麗な長い黒髪をもつ私の友人、宮沢奏は私と同じ部活で、中学生からの付き合いでもある。

「奏は好きな人、できた?」

「うーん、いないかなぁ…」

「そっかぁ…」

まだ高校生になって一年もたってない。

私は、人を好きになるのには、やはりそれなりの時間がかかると思っている。一目惚れをあまり信じていない。

好きになりそうな人のことをある程度知って、それから本気の好きに気づくものだと。

だから一年もたってないですぐに好きな人ができるのは、ちょっと信じられない。我ながら、気難しい。

「そういう爽夏は?」

奏が楽しそうな笑顔を浮かべてニヤニヤと私を見ながら笑う。

「……いないよ」

「そうなんだ」

奏は、どうして好きな人が居ないのに私に聞いてきたんだろう、というような顔をしていたが、私は気づいていない振りをして席をたった。

「トイレいってくる」

「あ、私もいくー」






















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