ありふれた恋を。

完璧教師の心情。


【hiroto side】


教師に夏休みは関係ない。

変わらず仕事があるし、変わらず学校へ行く。

ただひとつ、俺の生活に明確な変化があった。



「ただいま。」


有佐が、家に来るようになった。



「早く帰って来たつもりだったんだけどな。」


ローテーブルに突っ伏して寝ている有佐の顔の下には宿題が広げられている。

キッチンにはラップがかけられたハンバーグ、冷蔵庫の中にはポテトサラダ。

夕食を作ってから宿題をしようとして寝てしまったようだ。


束の間、その寝顔を眺めてからそっと髪を撫でる。


有佐が家に来るようになって3週間近くが経つ。

有佐のおかげで部屋はすっかり見違えた。

こうして週に2〜3日程家に来ては料理や掃除をしてくれるおかげでその綺麗さもキープされていて、もうおんぶに抱っこ状態だ。


しっかりしているなと甘えていたけれど、こんな無防備な姿を見せられると本当は頑張ってやってくれていたんだと気付く。



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